いろいろと読んでいるわけで

雑記UPするのはライトノベルがほとんどですが、実際には乱読に近くいろいろなものを読んでいるわけで。
そしてここ最近はSFづいているのでアシモフとかクラークを読み返したり、ハヤカワSF文庫あたりを手当たりしだい手にとってみたりするわけで。

回帰祭 (ハヤカワ文庫JA)

回帰祭 (ハヤカワ文庫JA)

 でもなんとなくライトノベルっぽいものを選んでしまうのはもう無意識であるような気がする。
 最近ライトノベルレーベルではほとんど出さなくなった小林めぐみの新作がハヤカワSF文庫から出ていたり。
 手に取った理由が作者名でなく、読み始めてから気が付いたりするあたりほんと注意力というか観察力がないというか……。
 閉塞された環境の管理社会における少年少女の冒険というのは目新しいものでhなく、むしろ使い古されたといってもよいのだけど、そこに導入されたガジェットがウナギとおう辺り、さすが小林めぐみである。
 物語を通してみても、ウナギである必然性は全くなくて、あとがきでもそれを認めている辺り完全に確信犯。
 テンポの良い会話とはっきりしたキャラクター付けはライトノベル寄りではあるけど土台はしっかりと構築されたSF世界であるので素直に面白く読めるのはさすがですね。


彷徨える艦隊 旗艦ドーントレス (ハヤカワ文庫SF)

彷徨える艦隊 旗艦ドーントレス (ハヤカワ文庫SF)

 いやー、非常に面白かった。
 窮地に陥っった状態での指揮権委譲というのは古くからある筋書きで目新しいということはないのだけれども、この物語ではまた一味違う。
 乾坤一擲の敵首都攻略戦において、敵の策略にはまり窮地に陥った攻略艦隊で司令官より指揮権を移譲された男は伝説の英雄だったと書くとなんかヒロイックファンタジー風でこれから一発逆転を狙えそうだけれども、この物語は違う。
 たしかに主人公は現代においては伝説の英雄であり乗組員達からは信仰の対象ですらあるのだが、本人は脱出艇の人工冬眠で百年を過ごして現代に蘇っただけの士官であり、司令官職のプレッシャーに押しつぶされそうになる男でしかない。
それでも士官としての義務を果たすべく奮闘する姿は非常に漢らしい。
 百年以上も続く星間戦争で疲弊し、戦術という概念が薄れてただ正面から殴りあうしかなくなっている艦隊決戦だとか捕虜は取らず皆殺しにするといった行動をみて、激怒する主人公を理解できない現代の士官たちや自己正当化ばかり長けている艦長たちといったどうしようもない艦隊を率いて故郷への長い道を進む主人公。ほんと続きが待ち遠しい。
 そういえばこのシリーズは普通のスペースオペラやSFと異なって、戦闘では光速度限界に縛られている。
 いちおうワープのような超光速航行はあるのだけども、通常航行や戦闘では観測が完全に光速度に依存している。
 つまり光の速度で一時間かかる場所の情報は取得するまで一時間かかる。
 従って戦闘時には敵艦の情報は必ず遅れて入ってくるので敵の動向や兆候を読み予測して、それに合わせて自分達の艦隊を未来予測位置に動かさなければならない。一個の艦だけならばともかく艦隊戦となるとこれは非常に難しい技能なわけで、劇中ではおそらく主人公しかもはや持っていない希少技能であるみたい。
 長い戦争中に失伝したらしく、逆に主人公の唯一といっても良いアドバンテージになっている。
 こういった考えかたの宇宙戦闘は非常に珍しいんじゃないかなと思う。
大抵はなんかよくわからない超技術でほぼリアルタイムで観測結果がわかる作品が多いだけに。