マブラブPlay中

とてもおおきな、とてもちいさな、とてもたいせつな、あいとゆうきのおとぎばなし
(宣伝コピーより)


 マブラヴ・オルタネイティブをプレイ中。旬は過ぎているような気がしないでもないが、マブラヴを再プレイしてからなのでまぁ仕方ない。(純夏・冥夜シナリオだけだけど)
で、まぁようやっとオルタをプレイし始めたわけですが…。
」の一言。
Fateよりも作品の出来は良いかも。演出と文章表現はFateに軍配あがるけど。

 ちなみにこの作品はエロゲーではなくて、ただ残酷・暴力表現がしたいがための成人指定ということみたいですね。(ニトロプラスと同じ)
 ネットではなんか賛否両論あるようだけれども、オルタ単体での評価は正しくないと思う。エクストラ・アンリミテッド・オルタネイティブ編全てを含んだ上で考えるべきだし、しかもオルタネイティブがメインストーリーではないかと。
 オルタ単体で見ても重厚な戦争ドラマで、感動するシーンもたくさんあるのだけれども、他二編と読み合わせてみると複合的な意図を含んだシナリオとして作られているのがわかる。典型的なエロゲーシナリオであるエクストラ編を対比させることでオルタの戦争ドラマを重厚なものにしているだけでなく、きっちりと伏線も織り込まれている。つまりあくまでエクストラ編はオルタ編の一部として構成されているわけですな。
(以下ネタバレあり)



 プレイしていて気が付いたけれども、エクストラ編とオルタネイティブ(アンリミテッドも含む)編は完全に表裏一体に設定されているようですな。
能天気なエロゲーシナリオであるエクストラ編と対比させることで重厚な戦争ドラマシナリオなオルタ編をさらにえぐいまでに残酷で、そして感動的なシナリオに仕立て上げる。
 登場キャラをキャラとして文字通り使い潰すなんてことをしているのがもう凄まじいの一言。戦争ドラマで仲間の死という演出は使い古されたテクニックであるが、それが"別世界"では暢気でおバカなエロゲーシナリオのキャラ(仲間)によって演出される。
 愛すべきキャラとして設定されたヒロインたちが無慈悲に残酷に消費されていくシーンが与えるショックは並みの戦争ドラマを遥かに上回ると思う。


「ふたりのタケルちゃんに愛されるなんて、わたし確率時空一の幸せ者だね!」
 メインヒロインにして、最重要キャラである主人公の幼馴染"鑑純夏"
 凄まじい苦難を乗り越え、主人公と本当の意味で心が通じたことを実感した時の彼女の台詞。オルタ編でも屈指の名台詞で、彼女が本当に幸せをかみ締めている台詞だろう。だが、これすらもシナリオを盛り上げるための演出意図でしかないことが後で判る。
なぜならば、愛した主人公を"元の世界"に戻すには因果の原因にになっている彼女が死ななければならないことを無意識に書き込まれた情報から知らされるからだ。
シナリオはこの時空の"彼女"に幸せを決して許さない。
 この世界の主人公を目の前でBETAに殺され、自身は肉体改造に始まって少しずつ肉体を剥ぎ取られて脳髄だけにされ、他のキャラたちを愛する主人公たちを見せ付けられ、そして最後は作り物の身体に記憶と意思を移されてオリジナルの肉体(脳髄)は失われ、その身体も敵であるBETAの技術力によって生かされており、そして愛した主人公を元の世界に戻すには自身が死ななければならない。
 それでも彼女は主人公にありがとうと感謝する。
再びめぐり合って愛されたのだからと。

たぶんこの一言がこの作品の全てなのではないだろうか。