イヴは夜明けに微笑んで―黄昏色の詠使い (富士見ファンタジア文庫)

読め
扉絵を開き、口絵カラー1ページ目を観て魅かれるものがあるならば。

 ここしばらくの新人・新シリーズでは最高クラスの傑作。
 設定マニアの自分でもなかなかと思える名詠式という「魔法」もさることながら、文章の律が実に心地よい。そして物語の雰囲気に同調する竹岡美穂さんの挿絵。「作品」としての完成度はなかなか高い。
 でも、それらはあくまでも後付けの理由。
 この作品で最も魅かれたのは、"約束"を交わした少女と少年の在り方。
 諦観と孤独に生きていた少女と少女を「救った」少年。
 決して幸福な終わり方ではない、けれどもどこまでも温かな「終わり方」。
 物語展開や伏線などには少し難があるけれども、それらを補って余りあるきれいな物語だった。

 続きがぜひとも読みたいなぁ。
 ちなみにファンタジアバトルロイヤル 2007年 02月号 [雑誌]では主人公たちの短編が掲載されてます。こちらもなかなかお勧め。