富士見F新刊とか

 今回も素晴らしい出来だった。最大の魅力である素晴らしい物語展開は、今回は奇をてらわないオーソドックスなものになった代わりに、文章で読ませるようになっていた。(その意味では11/16の日記は間違いですな)
 展開は先読みができるのに、ワクワクしながら読める作品というのはベテラン作家ならば珍しくはないのだが、新人一年生でここまで書ける人というのはあまり記憶に無い。あえて挙げるなら「12月のベロニカ」の中の人とかそれくらい?
 さて、今回もサラはほとんど動いていない。ラジャス閣下はわりとせかせか動いているけれども、まぁ概ね予想通りに動くだけ。
 むしろ今回は背後の状況がかなり激しく動き始め、そして最後でのサプライズ。物語の核である設定が出現し、さてここから物語はどう動くのだろうかというところで終わる。いい所で。
 次巻は意外とはやく一月刊行予定のようで、非常に待ち遠しい。
 ところで、イラストレーターのあとがきに書かれている閣下がとてもぷりちーw


 枯野瑛さんの久々の新作。やはりというかがっかりというか「てくてくとぼく。旅立ちの歌 (富士見ファンタジア文庫)」は続きませんでしたか……。
 ……そういえば、この方はたいてい後が続かないのだけれども、なぜか富士見Fからは作者ごと抹消されない稀有な人。
 作品の雰囲気が好きな作家さんなので、新作が読めるのはうれしいことなんだけど、続きがでないのがなぁ(汗。

 今作についても、あいかわらず透き通った雰囲気が美しい作風は健在。
特に用語の音感がとても奇麗なよい響きのものが多い。
 作中劇の台詞と現在における言葉が重なるように作られた部分などは本当に美しい。
 物語構成が現在と過去と作中劇が入り混じっているので少し複雑だけれども、混乱するほどではない。
 基本的にシリアスな物語主軸とギャグパート/息抜きのの学園生活や主人公と隣家の少女の変わったバカっプルぶりとか、妙にノリの良い学生達とかもいい雰囲気。
 物語の最後はわりと重苦しい感じで終わっているが、かなり引きの強い終り方なので続きが読みたい。

 ぜひとも続いて欲しいなぁ