ライトノベルブームとやらについて思うこと

 マスコミによると最近はライトノベルがブームらしい。ブームの定義についてはよく分からないが、出版数が増加傾向にあるとのこと。
 このライトノベルブームとやらについてちょっと思う。
 ライトノベルが世間一般に認知されるのはともかく、なんでブームとして大騒ぎしなければならないのかなと。
 業界事情などの情報について無知な一読者としては、最近のライトノベルブームというのは無理やり盛り上げているような感じがする。(ブームなんて作られるものではあるが、それでも無理に作られているような気がする。ライトノベル読者による盛り上がりというものが感じられない)
 マスコミに取り上げられる機会は増えているが、この少子化社会においてライトノベルの購入客層は増大しているのだろうか?
少子化は置いておいても、社会人の年齢層が新規でライトノベル購入層になるとはちと思えない。(学生時代からの持ち上がり年齢層が基本ではないだろうか?)

 その一方で世間からの注目に乗じるような出版数の増加傾向、ぶっちゃけ玉石混交どころか瓦礫の中から玉を捜さなければならない現状は、あまり業界にとってもよくない兆候なのではないだろうか。読者(購入層)から呆れられるかも知れないのだから。

 十年前ならば、ライトノベルを購入するのに迷った。毎月刊行されるものはどれも面白くて欲しい一方で、お金は有限だったからだ。買えなかった物は次の月か、または立ち読みをしてまでも読みたかった。(そのためにかなり早く読めるようになったほどである)
 だが、現在はそこまでして買いたい物が減ってきている。
大人になって読書傾向が変わってきたのもあるかもしれない。が、その一方で当時欲しかったものを見つけて読むと今でも十分以上に面白いと感じる自分がいる。
だとすれば自分の趣味趣向が完全に変わったとはいえない。ならば違いがあるとすれば刊行側の方ではないだろうか。十年前の状況と変わっているものといえばなんだろうか?
最も目につくものは単純に刊行点数。十年前ならば電撃文庫富士見ファンタジア文庫角川スニーカー・朝日ソノラマを合わせて月15冊ぐらい。
現在は電撃だけで10冊以上、上記レーベルの他にファミ通文庫・MFJ文庫・集英社SD文庫を合わせたら月30冊を超える。
 ライトノベルの刊行基*1が下がっているとしか思えない。つまり"数撃てば当たるだろう"方式で出しているように思えてしょうがない。あるいは水増しというか。
 十年前に比べて顧客層が倍以上に増えているとは思えず、また購入金額が倍以上に増大しているとも思えない。(多少は増えているだろうけども。最近の子供は金あるしネ?)
必然的に一作品あたりの購入数は減少傾向にあるはず。

それでいてライトノベルがブームであるとはいかに?

単に作られたブームであると考えると一番納得がいく。(理由や動機については考察するほどの情報もないし、だいたい単なる一読者だからどうでもいいし)
しかし、そうやって作られたブームであるならば、それは作った側(マスコミ?)の都合が悪くなれば消え去るということ。あとには残骸となったライトノベル業界というのでは…。
つまりはバブル時代のように不安定な状況なのではないだろうか。

 そしてそういう状況で続々と発表されるライトノベルのアニメ化。
まるでろうそくの最後の輝きのように見えてしょうがない。しかも、どの作品もおそらくは2クール程度のものであるようだ。人気が出れば、スレイヤーズのように続編が作られるかもしれないが、さてそこまで人気が出るのかどうか。そして破綻寸前とまで言われる現在のアニメ業界でクオリティを保てるのだろうか? 少なくともきちんと見れる作品であってほしいと思う。こんな悲観的な未来像は杞憂であって欲しいものだ。
(もっともこのブームに乗じて極楽トンボ氏が書かれたhttp://d.hatena.ne.jp/tonbo/20051006のような意見もありかも。)

とまぁ、悲観的につらつら書いてみたが、その一方で私自身が信仰している言葉がある。

「時代を超えて残るのは本物だけだ」

 ブームが過ぎようとも業界が壊れようとも本当に面白い作品は後に残るに違いない。

*1:要は出しても良いと判断される基準と思ってください