今月のGA文庫

迷宮街クロニクル4 青空のもと 道は別れ (GA文庫)

迷宮街クロニクル4 青空のもと 道は別れ (GA文庫)

 世間ではニャル子さんだろうけど、マイペースでマイロードを這うここではこちらが先。
 面白かった。思わず一巻から読み直してしまった。
 派手さはないし、判りやすい色気もなければ、計算された読者への媚びもない。
 世界の命運も担わなければ、主人公補正のような強さも持ちえず、登場人物たちの生死を淡々と書き綴るだけ。
 RPGでいえば冒険者と一括りにされるような人物達が織り成す集団劇。 
 難を云えば、話(登場人物)と場面が飛ぶのでこいつ誰だっけ?となることくらい。
 もともとWebで後悔されていたものらしいので、検索・ページジャンプ機能のない紙媒体ではそりゃわかり難くなるのは仕方ないことと割り切るしかないのね。
 電子書籍になればまた話が変わってくるかもしれない。

 ところで、主人公は僅か三ヶ月しか迷宮街に居なかったのか。
 スキル・体力的にかなり上がったように見えたので、半年〜一年未満くらいは生活していたのかと思った。2〜3日に一度くらいしか地下に潜らないだろうから、せいぜい20〜30回しか潜っていない計算に、ってそれだけ潜れば十分ベテランか。


 ますます追い込まれていく主人公は大変だよの三巻。
 彼は最強クラスの規格外とはいえ、制限も多いわけで紛れもなく正統的に強い敵には苦戦するのは必然。
と、そんなことは置いておいて、今回はサシャを伴って旅編。コレは婚前旅行だよね?
ナチュラルに倣岸なリア=メイも相変わらず傍迷惑なことしかしていないし、珍道中になるのかと思いきや、またまた大陰謀に巻き込まれるわけで。そうしないと冒険譚にはならんのだけど、魔法材屋の仕入れ苦労譚じゃなかったのか?
毎回仕入れると同時にそれ以上を消費しているような……?

 今回はお人よしに見える三代目の過去が明かされる。それは読んでみてのお楽しみとして、なるほど、根っから壊れているんわけですな。彼にとっては一助けは打算ですらない、呼吸をするのと同じくらい当然となっているのか。
 悪事に走らないだけで普通はこういうのは「壊れている」というのですが、つまり彼は既に人として「終わっている」わけですか。がんばれ、サシャちゃん。癒せるのはキミだけだ、たぶん。