今月のGA文庫

さて久しぶり(数ヶ月ぶり?)にライトノベルについて簡単な感想を上げてみんとす。
 ライトノベルはおろか読書量はほとんど減っていなかったのだけれども、なぜか気力が溜まらずにずるずると何も書かなかったわけですが。

既刊:魔法の材料ございます ドーク魔法材店三代目仕入れ苦労譚 (GA文庫)

 気力の出なかった期間中に発売された中でも、けっこう気に入っていた新人さんの作品の続刊。
ガンダムはファーストとエマ・シーン中尉以外認めないというその潔さがかっこいいかも。<作者さん

 主人公はわりと戦闘能力最強クラスだが、いろいろと欠点も多く、そしてとある事情から無気力に毎日を過ごす、ぐうたらダメ人間三代目天店主。
 ヒロインであるサシャはそんなダメ店主を帳簿ではたきながら、借金で傾いている店を立ち回らせる働き者。
 無気力ぐうたら主人公と乱暴な働き者ヒロインの恋の行方は……と、ふつうなら行きそうだがこの作品ではちょこっと捻ってある。
 ヒロインが三代目を好いていると自覚し始めているいるのは、もう一人のヒロインであるリア=メイの乱入によって明確になってきているのだが、三代目店主はとある過去の事情から、「自分が生きている」ことをわずらわしく思ってさえいるのだ。
 当然のことながら、そういう感情についても気づけないわけで。
 でも三年間無気力に生きてきた彼が、うっとおしいまでに態度Lなリア=メイに引きずり回されて、精神的な復活の兆しを見せ始めたところまでが前巻。
 この巻では、サシャの恋心の自覚と三代目の「生きる」ことへの執着が出始めることがメイン。
 魔法使いとしての矜持を曲げてまで、「生きること」に拘りはじめた理由は平凡だけども、ようやっと主人公らしい生き方になってきたのがなかなか。

 そしてリア=メイは相変わらず、うっとおしいですが、わりと酷い目にあったりして。
 考えてみりゃ、前巻ではファーストキス奪われて、今回は部下達にまで恥ずかしいところを見られてと酷い目あってるけど、普段の態度Lなところからか今ひとつ同情心が湧かないw。

 しかし、三代目の過去の正体がどんどんばれていっているのが大きな騒乱の種になりそうな雰囲気。
 ほんわかのんびりな感じが気に入っているのですけど、シリアス路線になっていきそうだ。



無限のリンケージ 2 -ディナイス・ザ・ウィザード- (GA文庫)

無限のリンケージ 2 -ディナイス・ザ・ウィザード- (GA文庫)

既刊:無限のリンケージ -デュアルナイト- (GA文庫)

 新人さんの受賞作シリーズの続編。一巻では後半にわりとシリアスな復讐劇に変貌したが、この巻ではややコメディ分が多め。
 主題は地に落ちた騎士が誇りを取り戻すといったところだろうか?
 ロバート君とその愉快な仲間たちの掛け合いは、基本的にほのぼのコメディなのだけれども、その一方でロバート君の抱える後悔と過去の重さが不意に現れてシリアスになるあたりの加減が巧い。
 戦闘シーンについても、定められた枠内でどうやって勝つか?というスポーツなので、むやみやたらな戦闘能力のインフレといったところがない。かといって、ただのさわやかスポーツというだけでもない。
 安全面は考えられているとはいえ、格闘技やボクシングなどと同じくやはり戦闘なのだ。
ケガや事故などが起こりえないわけではない。
 その辺の見せ方のさじ加減が大変巧いのがこの作品。
 このシリーズの続編も読みたいけど、違うシリーズも読んでみたい。