八月の富士見ファンタジア文庫

 なんか久しぶりに本の感想上げ。実際のところ新刊は読んでいるのだけれども、文章を書く気力が出なかったというところ。無気力でも必要なことは出来てしまうからなんとか生きているわけですが。

ちょこっと遡って先月の富士見ファンタジア文庫から。
二作が無事にシリーズ完結という非常におめでたいことになっています。
 いつのまにかフェードアウト(という名の打ち切り)はライトノベルの華なんです!と強弁してみたい。

 当初からお気に入りだったシリーズも十巻で完結。良いペースでコンスタントに発売されたのもあって、待たされたといった感じはほとんどない。
 そして、最期まできれいなお話でした。ええ、実は年下の男の子をてごめにする物語とかそういうのではないのですよ。
 真っ黒にヨゴレた自分には、本当の意味で悪人が居ない物語というのはあまり好きではないのですが、このシリーズは数少ない例外。
多少強引にでもシリーズに登場してきた皆を登場させて、協力して強大な相手に勝つというのは物語としてはありきたりですが、それだけに面白く書くことは難しいわけで。

 完結記念に一巻から読み直してみましたが、物語にブレがないのが素晴らしい。
無理に引き伸ばしたような感じもあまりせず、必要なところだけを書いたわけでもない。
適度に息を抜きつつ、それでも必要なことを書いてあるというのは、新人作家としてはかなり驚異的というか、そうとうの計画性を持たないと無理な仕事ぶりです。

本当に良い作品でした。




 エスクードシリーズも完結。
 ラストについては、前々巻から判っていたことですし、そして物語のためなら容赦なくキャラを殺せる作家なので、その予想が覆ることもないだろうと。
前哨戦を含むバトルも、その結果も、その後も。
どれ一つとして、気を抜けない緊張の連続。読み終わった瞬間に緊張が解けて気を吐いた作品なんてそうはない。
 壮絶な決意を胸に生きていく主人公と、そして彼を愛したヒロインと愛しているヒロイン。
 キャラの一人一人にドラマを持たせられる貴子潤一郎さんはやはり凄い。
 次のシリーズにもまた首を長くして待つだけの甲斐がありそうです。