電撃新刊とか
まだ全部読んだわけではないですが、新人さんたちのはどれもなかなか面白い匂いが。まぁ、この「嗅覚」は外れたりすることも珍しくないですけどね。
- 作者: 紅玉いづき,磯野宏夫
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2007/02/10
- メディア: 文庫
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とてもよい感じの作品。文章も軽快で読後感もいい。
物語構造はほとんど基本パターンのひとつだし、キャラクターも良い人しかでないのだけれども、それでもこれだけ面白い作品が書けるのだという見本のような良い作品。
ただ思うに、選考委員の方達は、賞を与えるのかけっこう議論があったんじゃないかなぁ?
挿絵をキャラクター絵フォーマットから外して、童話的なものにしていることからそう感じるのだけれども。
寓話的なつくりをしていて、キャラクター小説というには弱いのだけれども、でもキャラクター小説でもあるという、鵺的というような作品。
「ごっちゃ煮」であるライトノベルという分野において、さらに新しい要素を加える橋頭堡となるかもしれない。
次の作品をぜひとも読んでみたい新人さんである。
- 作者: 土橋真二郎,白身魚
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2007/02/01
- メディア: 文庫
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金賞受賞作。
これもちと毛色が変わった作品。
まず超能力や魔術や超科学や個人戦闘がない。
ライトノベルの代表的な要素の大半が削ぎ落とされている。
珍しい。
登場人物に極端な"何か"(有能・有害を問わず)を持っていない。
珍しい。
状況(ルール)だけがあって、その中での集団と個人を書くだけというライトノベルではほとんど見かけない物語構成。
珍しい。
かの映画「CUBE」を髣髴させる舞台装置だけれども、実際のところは人間VS人間というか、集団と個人の関係こそが肝。
物語展開もなかなか先を読ませずに同着地させるのか実に面白く読めた。
そして主人公とヒロインできれいに締めさせたラストシーンが実に素晴らしい。
つまりこの作者さんはこのシーンを書きたかったのではないかと思えるくらい良い味わい。
これはスルメ的というかいぶし銀の味わいというか、じっくり何度も読むとよい感じの味わいがでてくるタイプの作品ですな。
……状況を全部投げっぱなしにしたのは、個人的には減点だけどね。ちゃんと解決しようよw